熱帯JAZZ楽団は元オルケスタ・デ・ラ・ルスのパーカッショニスト、カルロス菅野さんがプロデュースするラテン・ジャズ・ビッグ・バンドです。このファーストアルバムはハイヴィジョンの試験放送の映像用に、横浜のランドマーク・ホールでライブ・レコーディングをして、最初はアルバムを出そうという意図はまったくなかったんですが、音源を自由に使うことができたので97年にインディーズで出し、その翌年ビクターから再発されました。
このアルバムは映画でお馴染みの「Mission:Impossible」のテーマソングやアース・ウィンド&ファイアーの「September」、それからトロンボーンの中路英明さんのオリジナル「Obatala」といった、今でもよくライブでやるレパートリーが入っています。録音したのがすごく古いスタジオで、ビッグ・バンドの録り方の勘どころみたいなものが解ってなくて、何回も何回もテイクを重ねて、やっと仕上がったという記憶があります。
ミュージカルでお馴染みの「My Favorite Things」が入っているアルバムです。このアルバムで早くも、「6月にアルバムを出して、7月にライブをやる」というパターンが確立されました。やっぱり「熱帯といえば夏」ですからね。バンドとしてのアンサンブルがかなりまとまってきたと感じられる作品で、ブレッカー・ブラザースの「Rocks」からシェリル・リンの「Got To Be Real」まで、幅広い曲を取り上げています。
2曲目にクインシー・ジョーンズに捧げたメドレーが入っています。「Dear Mr. Jones」というタイトルで、代表曲「Ironside」「Soul Bossa Nova」「Ai No Corrida」を演奏しています。それから、「ルパン三世」のテーマは、原曲とはかなり雰囲気が変わって、アフロなリズムになってます。面白いアレンジです。あとは、ギル・エヴァンスの「Eleven」という曲もやっていますが、すごく難しくて死にそうになった記憶があります(笑)。
原題は、"熱帯の夜"という意味です。熱帯JAZZ楽団は誰でも知っている曲に捻りを効かせて、ラテンにアレンジして聴かせるというのがテーマになっていて、ここでは「11PMのテーマ」をやってます。それから「007のテーマ」も不思議なアレンジになっています。マイケル・ジャクソンの「今夜はドント・ストップ(Don't Stop 'Til You Get Enough)」は原曲の1.5倍くらいのテンポの、ちょっとブーガルーっぽいリズムでやっているのが面白いです。
これは渋谷のAXで収録したライブ盤で、映像も出ています。熱帯JAZZ楽団としては初の映像作品で、それまでの定番曲が何曲も入っていて、"新ネタ"も何曲か入っています。熱帯JAZZ楽団のオーディエンスは年齢層がとても幅広く、年配の方もいらっしゃるし、吹奏楽をやっている中学生や高校生もたくさんいます。レパートリーが幅広いので、観ていても楽しいと思います。CDは2枚組で全11曲。ショッキング・ブルーの「Venus」やフィル・コリンズの「Sussudio」が新ネタです。
ここではチック・コリアの「Spain」をやっています。比較的原曲に近いながらも、誰でも知っているあのキメどころに捻りが加えられた、面白いアレンジです。あとは、ウエザー・リポート「Birdland」も熱帯流に料理し、ディジー・ガレスピーの「A Night In Tunisia」ではコーラス・グループのニューヨーク・ヴォイセスをフィーチャーしています。それから、フライド・プライドのShihoさんも1曲歌ってくれました。
今まで出した曲の中から人気の高いカバー曲をピックアップして、それをリミックスしたコンピレーションです。ここにも『熱帯JAZZ楽団Ⅳ ~La Rumba~』でやったクインシー・ジョーンズのメドレーが再収録されているんですが、新宿にある昔ながらのグランド・キャバレーを昼間借り切って、その曲のプロモ・ビデオを録りました。熱帯唯一のプロモ・ビデオ作品。CDエキストラだったら、一緒に収録できたんですけれどね……。
タイトルは、もっとトロピカルという意味だと思います。このアルバムでは渡辺貞夫さんをゲストにお招きして貞夫さんの代表曲「Orange Express」をやりました。貞夫さんとは以前にも、Sadao Watanabe with Casiopeaとしてコカ・コーラのCMで共演しています。それから「コーヒー・ルンバ(Moliendo Cafe)」も入ってますが、そこではスリー・ディグリーズのパロディーの3人組コーラスグループ、スリービックリーズをフィーチャーしています。
原題の"con"というイタリア語は、英語でいう"with"で、アフロ・キューバン・リズムの幹となる「クラーベの心を持ってスウィングする」といった意味が込められています。「Four Brothers」や「Night And Day」「Moonlight Serenade」といったスウィング時代の定番曲を取り上げ、そこに熱帯流のアフロ・キューバンな味付けがなされています。また、3曲目には「Snakeman's Shuffle」という僕のオリジナル曲も入っています。
アース・ウィンド&ファイアーの「Let's Groove」をチャチャチャのリズムで演奏しています。ロビー・ネヴィルの「C'est La Vie」、スタンダードの「Fly Me To The Moon」など幅広い選曲で、最後にボーナス・トラックとして、ディアマンティスのアルベルト城間さんが歌う「Cervesa」という曲が入っています。これは沖縄のオリオン・ビールのコマーシャル曲で、沖縄でしか使われなかったのですが、とても素晴らしい曲です。
これまで出した熱帯のCDの中からメンバーのオリジナルだけをピックアップしてリミックスしたアルバムです。僕の「Snakeman's Shuffle」も収録されていますが、この曲はもともとジンサクの『Wind Loves Us』に入っていたもので、ビッグ・バンド的な曲をやりたいと思って書いた曲なんです。森村献さんにもそういうアレンジをしていただいたので、その後、「熱帯JAZZ楽団でもやってもらえませんか」って譜面を持っていき、レパートリーになりました。
ここではアース・ウィンド&ファイアーの「Fantasy」をカバーしています。思いっきりラテンになっています。それから「S.W.A.T.のテーマ」。ベンチャーズの「Walk Don't Run」は7拍子のすごく変なアレンジになっています。この作品からドラマーがダブル・キャストになっています。僕があまりにも欠席が多いので(笑)、半分は平川象士くんという若いドラマーがプレイしています。彼も非常に素晴らしいミュージシャンです。
熱帯JAZZ楽団の結成は95年なので、このアルバムで15周年を迎え、心機一転、レコード会社もソニーに移籍しています。このアルバムも僕と平川くんのダブル・キャストで、僕は4曲叩いています。そのうちの1曲「オゲンキデ☆スカ」は歌詞も付いた僕の曲で、もちろんリズムはスカです(笑)。この間のツアーではアンコール曲として皆で歌って、とてもいい感じの盛り上がりでした。定番曲になりそうな予感ひしひし、です(笑)。
熱帯JAZZ楽団から派生。ギターで野呂さんも参加
熱帯倶楽部は熱帯JAZZ楽団から派生した、もう少し小編成のグループです。森村献さんがミュージカル・ディレクターを務め、カルロス菅野さん、ティンバレスの美座良彦くん、サックスの藤陵雅裕さんの熱帯JAZZ楽団組に加えてベースがコモグチキイチロウくん、ボーカルがチャカさん、そしてギターで野呂一生さんが参加しています。ラテンという枠を少し越えて、よりフュージョンっぽい要素を取り入れたサウンドになっています。