ジンサクは櫻井哲夫さんとの2人のユニットで、お互いの苗字から自然にこの名前が付きました。カシオペアではラテンを突っ込んでやったことがなかったので、ジンサクではラテンをコンセプトにして、僕の希望でこのファーストはロス・アンジェルス録音になっています。松居和さんに紹介していただいたエリック・ブリングにアレンジをお願いし、南米のアルゼンチン、チリ、ペルー、その辺りの空気を感じるアルバムになっています。
読み方は「Forty Five Degrees」です。ジンサクの1枚目を録った後、ツアーをするので日本でメンバーを集めたんですが、そこに参加してくれたキーボード森村献さんとの出会いはとても大きなもので、アフロ・キューバン・リズムについていろいろと教わり、新しい目を開かせていただきました。このアルバムはその森村さんを核にアレンジをお願いし、すごくエネルギー感があって、勢いのあるアルバムになりました。
ジンサクの最初のライブには森村献さん以外にもうひとりキーボードが吉弘千鶴子さん、ギターが是方博邦さん、そしてエレクトリック・ヴァイオリンが中井一郎さんという豪華なメンバーだったんですが、メンバー同士がとても楽しく和気あいあいとツアーができたので、その雰囲気が上手く出ているアルバムです。鳥山雄司(g)さんと本田雅人(sax)さんがゲストで参加。アレンジは森村さんと吉弘さんのおふたりにお願いしました。
これは日本青年館で収録したライブ盤で、ライブ盤なんですが最後に1曲、僕の「Vermillion」という新曲が入ってます。メンバーはいつもの森村さん、吉弘さん、是方さん、中井さんにジンサクの2人で、非常にゴキゲンな演奏が展開されています。森村さんのアレンジがとても緻密なので、スタジオではスタジオならではのよさがありますが、このメンバーでのライブは、ライブならではの違ったよさがありますね。甲乙つけがたいところです。
ジンサクは櫻井さんと僕の2人だけのユニットなので、「2人だけで1枚アルバムを作ってみよう」がこの作品のコンセプトで、他のメンバーは入っていません。『Viva!』の時のドラム・ソロとベース・ソロが核になり、そこに多重録音の新曲が何曲か収められている、そんな作りになっています。和音のパートも櫻井さんがピッコロ・ベースという高い音の出るベースで重ねて出していて、ベースとドラムだけで"100%"作られた作品です。
このアルバムはそれまでのバンド編成に戻っていますが、やはり、森村さんのアレンジが非常に光っています。生のストリングスを初めて入れたり、ゴージャス度が増しています。それまで自分が演奏したことのなかったいろいろなキューバの新しいリズムに挑戦してみたり、僕はとってもいいアルバムだと思っています。昔からラテンは好きでしたが、この頃は、きっと「僕の前世はラテン系だった」なんて思うことがよくありました。
タイトルのネーブルは「へそ」のことです。1曲目に「Navel Of The Earth」、地球のへそ、という曲が入っているんですが、この曲は『スーパーモーニング』(テレビ朝日系)のテーマ曲としてしばらく流れていました。このアルバムも森村さんのアレンジが秀逸で、とっても気に入っています。また、エンジニアも前作『Wind Loves Us』から新しくなって、すごく骨太の音になっています。生楽器は録る人によって全然変わりますから面白いですね。
90年のファーストアルバム以来、ずっとラテンをやってきて、結構、やり尽くした感がこの辺りから出てくるようになりました。この『BLAZE OF PASSION』もラテンなんですけれども、なんて言うんでしょう、ちょっとアシッドな、実験的な方向に行ってるアルバムですね。音楽的にはとっても面白いと思いますが、ただ、パッと聴いて心地よいかというと、非常に微妙なところがあります、正直に言ってしまうと……(笑)。
角松敏生さんにプロデュースしていただいた作品です。そろそろ新しい方向性を模索したほうがいいんじゃないかと話し合っていた時、たまたまCDショップで格好いいサウンドが流れていて、店員の方に訊ねたら布施明さんの新曲でプロデュースが角松さんだったんです。それで櫻井さんが角松さんと交流があったので直接電話でお願いしました。新しい地平が開かれた作品で、ポップで聴き易く、かつ、演奏は結構ゴリゴリした、いいアルバムです。
ジンサクとしての最後のアルバムで、読み方はメガ・ディービーです。当時、ドラムン・ベースというマシンで作り出すビートが流行っていて、僕は初めてマシンのビートに影響されたんですが、考えてみたらドラムン・ベース=ドラムとベースのこと、つまり、「ジンサクこそドラムン・ベースだ!」って思って、マシンの超高速ビートを人間がやったらどういう風にできるんだろう?──そんなチャレンジをしたアルバムです。