僕がカシオペアに入って初めてのアルバム、つまり、"プロ・ドラマー神保彰"の第一歩となる作品です。最初の録音がライブ盤というのはちょっと驚きですが、特に緊張はなかったです。レコーディングは80年の2月、東京・芝公園にあるABCホールで行われ、当時僕はまだ20歳でしたが、20歳にしては結構頑張っていて、いろんなアイデアを曲ごとに詰め込もうとしているのが感じられます。「若さ爆発!」の1枚ですね。
初めてのスタジオ録音盤。自分の初オリジナル曲が入っているので想い出に残っている作品です。野呂さんから1人1曲必ず書いてくるようお達しがあり、「Ripple Dance」という曲を書いたんですが、まさか自分に曲が書けるなんていうことは想像もしていなくて、野呂さんに助けてもらいながらようやく完成した1曲です。国内初のデジタル・レコーディングで制作し、録音中にいろいろなトラブルが生じたのを今でも覚えています。
スティーヴ・ガッドと並ぶ僕の2大アイドル、ハーヴィー・メイソンと初めてお仕事が出来た想い出の1枚。ロスにひと月滞在して制作しましたが、もう緊張の日々でした。プロデューサーとしてのハーヴィーさんは明確なビジョンを持っていて、いろいろな指示を与えてくれました。とにかく音数を減らして、シンプルに、シンプルにやろうと言われ、それによってカシオペアが凄く太いビートのバンドに生まれ変わりました。
これはハーヴィー・メイソンを日本に呼んで、リズム・トラックのプロデュースをお願いした作品です。前作でそれまでと違うビート感を得ることができたので、日本のレコーディングでもそのビート感を出したい、と再度ハーヴィーさんに依頼をしたんです。ただ、2枚を聴き較べると、やはり音は全然違いますね。ロスで録った方はスカッとしていて、お天気がいい感じがします。街の空気ってこんなに音に出るんだな~と実感させられました。
銀座の中央会館にお客さんを入れてライブ形式でスタジオ録音のような音を録る、そんなちょっと不思議なアルバムです。ライブでの盛り上がりを作品のかたちで残せたらいいんじゃないか、というプロデューサーの意向でそうなったんですが、その後、定番アルバムとして定着しています。音がすごくクリアでコピーし易いんでしょうね、「Domino Line」での僕のドラム・ソロを、ほんとうに多くの方がコピーしてくださっています。
これはリー・リトナー・バンドとの共演盤です。スケジュールの関係で1日ですべてのレコーディングを終えました。ハーヴィー・メイソンとのダブルドラムがそのままスタジオで実現したという、とても感慨深い作品です。1曲目に僕の「Mid Manhattan」が入っていて、これはその後、カシオペアの定番曲として定着しています。他のメンバーはドン・グルーシン(kb)、ネイザン・イースト(b)。皆さん、僕らとは違って余裕綽々のプレイでした。
すごくいいアルバムだと、今でも客観的に思えます。初期カシオペアの一番成熟した姿が収められている作品ではないでしょうか。曲もすごくいいですし、野呂さんの作曲の才能が光ってますね。その後、カシオペアの定番になる曲がたくさん入ってます。僕は「Fruits Salad Sunday」という曲を書いてますが、まあ、そこそこの曲、って感じでしょうか(笑)。ジャケットに写る僕の格好はいまだに疑問です。長靴にオーバーオールですからね……。
ロンドンでレコーディングしたアルバムです。当時はカルチャー・クラブをはじめ、ロンドンのサウンドがブームになっていて、ニューヨークよりもロンドンが新しいという時代だったので、じゃあ、次はロンドンに行ってみようとなり、一軒家を借りてひとつ屋根の下で暮らしながらレコーディングしました。アルバムには3曲歌ものが入っていて、うち1曲はエルトン・ジョンとのデュエットでもよく知られるキキ・ディーが歌っています。
新曲1曲を加えたベスト盤です。アルバムタイトル曲がその新曲で、マクセルのカセットテープのコマーシャルに使われ、カシオペアもそのCFに登場しています。ベスト盤の選曲は野呂さんが中心になって選んでいたと思いますが、これがカシオペアのヨーロッパでのデビュー盤になりました。ヨーロッパでも結構売れて、モントルーやノース・シーといった歴史のあるジャズ・フェスに2年続けて出演することができました。
前作を出した後、ヨーロッパでツアーを行い、それが終わってから大西洋を渡ってニューヨークでレコーディングしたアルバムです。ただ、ニューヨークまで行ったわりにはエンジニアがロスの人で、スタジオが超ボロで(笑)、こんなので大丈夫なのかなという不安を抱えながらのレコーディングでした。かなり一発録りに近い音なので、当時のバンドのアンサンブルのタイトな感じが上手く収められているアルバムじゃないかなと思います。
タイトル曲がデンソー・カーエアコンのCMに使われ、商業的にいちばん成功したアルバムになっています。その曲は初の4人の共作曲で、ちょうどその頃から個人個人がソロアルバムを出すようになりました。『HALLE』の前に野呂さんと向谷さんが出して、『HALLE』を出してから僕と櫻井さんがソロを出す、という流れでした。このアルバムには僕は「Street Performer」と「Touch The Rainbow」という軽快な曲を提供しています。
これは両国にある新国技館で行ったライブを収録したものです。確か、新国技館が立ち上がったばかりの頃だったと思います。当時、ブレイクダンスがちょうど出て来た頃で、そんなこともあってダンサーと共演しているんですが、ベース・ドラムスがドコドコダン、ドコドコダン、と片足ではできない感じだったので、それで初めてダブル・ペダルを導入しています。試行錯誤しながら自分の奏法を見つけていった、そんなかんじですね。
84年の『DOWN UPBEAT』に続くニューヨーク録音で、プロデュースはデヴィッド・ボウイのギタリストとして知られるカルロス・アロマーが担当。スタジオは有名なヒット・ファクトリーを使いました。だんだんアメリカ的な指向になり、歌ものも入れて、より幅広い層にアピールしたい、そんな思いが強く表れています。84年に「Missing You」の全米№1ヒットを放ったジョン・ウェイトが1曲リードボーカルを担当しています。
これは最初、ビデオとレーザーディスクでリリースされ、その5ヶ月後にCDでも出た作品で、現在はDVDとしてリリースされています。ボーカリストの楠木勇有行さんを入れた五反田ゆうぽーとでのツアーの模様が収められていて、1曲目からアンコールまですべてそのまま入っていることから『PERFECT LIVE』というタイトルが付けられました。ここで早くもドラムのトリガー・システムを使ったソロが出てきます。ワンマンオーケストラの原点ですね。
デビュー以来のアルファからポリドールに移籍しての第一弾です。今回もニューヨーク録音ですが、カシオペアが悩みに入っている時期を象徴するような作品です。楠木さんが今回もリードボーカルで参加し、また、僕の曲「Me Espere」ではゲストでジャヴァンが歌っています。当時、僕はブラジル音楽にすごく傾倒していたのでジャヴァンと共演できるというのがとても嬉しかったです。ボーカルを入れるまでの苦労は大変でしたが。
僕がメンバーとして参加した最後のスタジオ録音ですが、このアルバムはとっても好きです。やっぱり、いろいろ悩むのはやめてインストで4人でしっかりやっていこうと原点に帰った作品で、そうやって地に足の着いた音楽になっていると思います。ただ、無酸素状態で10年間やってきて新しい風が必要な時期になり、シャンバラというボーカル・プロジェクトを立ち上げたりといういろいろな絡みがあって、バンドを離れることになりました。
前作『EUPHONY』を出した後にワールド・ツアーをやり、それがレーザーディスクで出ているんですが、『PERFECT LIVE』の時と同じように、その音の部分をCD化した作品がこれです。メキシコ、ロス、オーストラリアのブリスベン、それとよみうりランドのイーストで収録し、よみうりランド・イーストではスペクトラム・ホーンズと共演しています。スペクトラムの新田一郎さんとカシオペアの共演は非常に貴重です。
このアルバムからまたサポート・メンバーとしてカシオペアに復帰しています。ただ、サポートでの参加でありながら曲も書かせてもらったりしています。このアルバムは、ロスと東京の両方で録っているんですが、ロス録音ではハーヴィー・メイソンが叩き、東京では僕が叩く、という構成になりました。ベースが鳴瀬さんに替わっているのでだいぶ違う雰囲気になっていましたが、それはそれでとってもいいなって思いました。
1曲目の「Dream Maker」から、ツカツカツカツカというカシオペア得意の16分音符の裏のキメが炸裂します。キメの数ではカシオペアの中でも1、2を争うんじゃないでしょうか。野呂さんの曲で、シンコペーションの指定がものすごく多くて大変な思いをした記憶が残っています。それから、僕の書いた曲「Night Breeze」はNAC的な曲です。ロスでかかっていてもおかしくないような、ソフトでメロウなナンバーです。
1曲目の「Freak Jack」は、カシオペアの初期の代表曲「Black Joke」や「Time Limit」を彷彿とさせる全員ユニゾンのパートがあり、すごく難易度が高くて死にそうになった記憶があります。続く2曲目の「Down South」は僕の曲なんですけれども、アメリカ南部のセカンドライン的なリズムを取り入れて、自分としての新境地に挑戦しています。タンツカツカタン、ツカタンタンみたいな、ダウンサウスなカシオペアが聴けます。
日比谷の野外音楽堂で収録したライブアルバムで、99年10月に結成20周年を迎えたことを記念した内容になっています。櫻井さんが登場して「Galactic Funk」で鳴瀬さんとベース・バトルを繰り広げたり、4代目ドラマー熊谷徳明くんと僕のドラム・バトルも入っています。「Flash Back Medley」は、直近の作品からデビュー作まで20枚を遡り、それぞれのアルバムからセレクトした全20曲のメドレーです。ぜひ、ご一聴のほどを。
前作からパイオニアLDCに移籍していましたが、僕が離れていた90年代前半もそこからアルバムを5枚出しているので、正確には"復帰"ということになります。この時期の、鳴瀬さんを擁し僕がサポートするという形態におけるとてもいい状態の音が収められた作品で、桜新町のスタジオで桜を眺めながら作った記憶があります。7曲目の「Give Me Your Love」が僕の曲で、これもソフト&メロウなサウンドになっています。
とっても爽やかなジャケットですね。これも春の桜の時期に桜新町のスタジオに集合して、アルバム制作を行うのが年中行事になりつつあった頃の、後期カシオペアの安定したサウンドが聴ける作品です。1曲目の「The Gate Open」は、「これぞカシオペア!」という感じの爽やかなサウンドです。僕は「Run」というファンキーな曲を提供しています。この年は台湾や韓国など、精力的な東南アジア・ツアーを行っています。
これも爽やかなジャケットです。これは確か僕のサイト上の日記にも書いているんですが、歳を重ねると皆、目が悪くなってきて、多くの情報量が凝縮された譜面が非常に見にくくなってくるんです。近過ぎても見えないし、遠いと全然見えない。ですから、譜面とのほどよい距離感を保ちつつ演奏することに腐心したアルバムです(笑)。僕の書いた「Rose」はソフト&メロウなナンバー。年齢とともにメロウになっていってるのかもしれません(笑)。
ここでは「Tropicool」という曲を提供しています。これは、TropicalとCoolを合わせた造語なんですけれど、カシオペアにしてはかなりラテン色の強いナンバーです。熱帯JAZZ楽団をずっとやっていくなかで、ラテン・リズムに対する造詣が自分なりにちょっと深まり、こなれてきた部分もあったので、ジャズ・フュージョンのフィールドでもそういうエッセンスをちょっと濃いめに出しても面白いなと思って作った曲です。
ここには「Universe」という大曲が入っています。8部構成の曲で、聴き始めるとそのまま40分終わらないという野呂さんの作品です。僕は「Reminiscence」という曲を書いているんですが、これは、サポートとして戻ってから書いた作品の中では、いちばん気に入っている曲です。西海岸に打ち寄せる大きな波を彷彿とさせるような、ミディアム・テンポなんだけれどもちょっとファンキーでもあり、壮大な感じもするナンバーです。
これは04年7月に渋谷のO-Eastで行われたライブを収録したものです。野呂さん、向谷さん、鳴瀬さん、僕という布陣で、ツアーの脂がのった演奏が収められています。ツアー自体はカシオペアのデビュー25周年を記念したもので、1年1曲という基準で選曲された全25曲を2枚組のCDに収めた、ライブアルバムながらベスト盤的な意味合いもある作品です。僕の曲は「Mid Manhattan」「Night Breeze」などが収められています。
この少し前から元T-SQUAREの則竹裕之くんとシンクロナイズドDNAというダブルドラムのユニットを始めて、教則DVDを出し、ツアーをやりました。そして05年には、カシオペアのツアーにも参加し、その模様は『5 STARS LIVE』というタイトルでDVDがリリースされています。このアルバムはシンクロナイズドDNAでカシオペアをサポートしたスタジオ録音ですが、これを最後にカシオペアは活動を休止することになりました。
向谷さんが退団し、キーボードにはオルガニストの大高清美さんが加わりました。僕は以前と同じくサポートという立場で参加しています。7分を越える野呂さんの「Days Of Future」は、再始動を記念するに相応しい大曲です。
第3期カシオペアの2枚目のオリジナルアルバムです。ライブを重ねて、新しいカシオペアのサウンドが確立されました。カシオペア初の変拍子の曲も収録。DVDも同梱されたゴージャスな作品です。
A・SO・BO発売後のツアーの追加公演をライブ収録した映像作品です。本編はもちろんですが、ツアーの舞台裏を撮影した特典映像もすごいボリュームで、見所聴き所満載の作品です。
楽曲も演奏も新たなステージに上った感のある、充実した内容の作品です。音質もブライトでクリアになりました。
カシオペアバンド結成40周年、インスピリッツ結成10周年を記念して六本木EXシアターにて行われたライブを完全収録。機材トラブルやMCまで全部入っています。
デビュー40周年を記念して発売された、宇宙をテーマにしたアルバム。もともとカシオペアは宇宙的なサウンドを目指して結成されたバンドなので、ある意味原点回帰的なサウンドに仕上がっています。