ジンサクの『MEGA db』で生のドラムン・ベースに挑戦し、それ以来、そういうテクノやクラブ系の音楽にもすごくいいものがあることを認識しました。そんな中、共通の友人の紹介でアンビエント/チル・アウト系のDJケイ・ナカヤマさんと出会い、実験的なコラボレーションがスタート。最初は僕がいろいろなビートを叩いて、それをネタにケイさんがブレイク・ビーツを作り、その上に音を足していく。楽曲というよりはアイデアの面白さで聴かせる作品に仕上がりました。
ここからジェイミー・オデルとのコラボレーションが始まりました。彼はシャカタクのドラマー、ロジャー・オデルの息子さんで、自分のプロジェクトでロンドンで活躍しているんですが、ローズ・ピアノがすごくいいんです。そしてビートの作り方に関しても普通のドラマーの感覚とは違うユニークなアイデアをいっぱい持っていて、非常に刺激を受けました。発想はものすごく自由ですが、音楽的な下地もしっかりしている、そこが素晴らしいですね。
これはスティーヴィー・ワンダーのカバー集です。その誕生の経緯は、ケイさんがスティーヴィーの日本での版権を持っている会社と何だかの接点があって、そこから、スティーヴィーのトリビュート・アルバムを作ろうという話が来たんです。ちゃんと許諾を取らないとレコーディングできないですからね。アンビエント的な色彩の、ちょっと変わったスティーヴィー、そんな独特の色合いを放っています。